本日は開館しております(10:00-18:00)

《テン》2017年 作家蔵 〈イマドキの野生動物〉より
2F 展示室

宮崎学

イマドキの野生動物

2021.8.2410.31

  • 開催期間:2021年8月24日10月31日
  • 休館日:毎週月曜日(ただし8/30, 9/20は開館)、9/21
  • 料金:料金:一般 700(560)円/学生 560(440)円/中高生・65歳以上 350(280)円 ※( )は当館の映画鑑賞券ご提示者、年間パスポートご提示者(同伴者1名まで)、各種カード会員割引料金。各種割引の詳細はご利用案内をご参照ください。各種割引の併用はできません。 ※小学生以下、都内在住・在学の中学生および障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)、年間パスポートご提示者(企画展4回まで)は無料。

東京都写真美術館では、「宮崎学 イマドキの野生動物」を開催いたします。
宮崎学(1949-)は中央アルプスの麓、長野県上伊那郡南向村(現・中川村)に生まれ、伊那谷の自然豊かな環境を活かし、1972年よりフリーの写真家として活動を開始しました。「自然界の報道写真家」として、現在も日本中の自然を観察しています。
宮崎は動物たちの通り道に自作の赤外線センサー付きのロボットカメラを設置し、撮影困難な野生の姿を撮影した「けもの道」のシリーズなど、哺乳類、猛禽類の撮影において独自の分野を開拓してきました。また、人間の生活空間近くに出没する野生動物や、外来動物の影響など、動物の生態を通して人間社会を浮き上がらせる社会性のあるテーマにも取り組んでいます。
シリーズ最新作となる「新・アニマルアイズ」では、「動物たちの住む森を動物の目線で見る」をコンセプトに、動物たちの痕跡を注意深く読み解き、自作のロボットカメラで人間の目が及ばない世界をみごとに写し出しています。本展覧会は、半世紀近くにわたる宮崎の作家活動の軌跡をたどりながら、黙して語らぬ自然の姿を浮き彫りにしようとするものです。どうぞご期待ください。
出品点数:写真210点、資料約20点


《ツキノワグマのカメラマン、長野県、中央アルプス》〈イマドキの野生動物〉より 2006年 作家蔵

展示構成:
第1章|〈ニホンカモシカ〉1970-1973年
宮崎が本格的に野生の動物の生態写真を撮影し始めた1965年前後、野生のニホンカモシカは「まぼろし」と形容されるほど、出会う機会が少なく、撮影は至難の業とさえ言われていました。宮崎は1965年3月頃からニホンカモシカの綿密な生態観察を始め、 中央アルプスの亜高山帯に生息する33頭のカモシカを個体識別し、四季を通じて生活を追い、宮崎によって次々に地図の上に記されていく目撃情報と生態写真は、生物地理学上、あるいは進化史上での貴重な記録となりました。


〈ニホンカモシカ〉より 1970-1973年 作家蔵 (中央アルプスの稜線から下界を見下ろすニホンカモシカ)

第2章|〈けもの道〉1976-1977年、〈倒木のけもの道〉2012-2013年、〈岩田の森のけもの道〉2012-2013年
宮崎は、登山道に無人撮影できるロボットカメラを設置し、四季を通じてそこに出現する様々な野生動物たちを撮影しました。それまでに類を見ない斬新な撮影方法と、無人撮影だからこそ撮影可能な野生動物たちの自然な表情は高く評価され、40年以上たった現在も〈けもの道〉をテーマにした撮影は続いています。


《テン》〈けもの道〉より 1976-1977年 東京都写真美術館蔵 (その昔、中央アルプスで獲れるテンの毛皮は一等品とされていたと聞く。このテンの毛皮を見る限り、それを裏づけているような気がする)


《キツネ》〈倒木のけもの道〉より 2012-2013年 作家蔵 (口いっぱいに獲物をくわえて家路を急ぐ)


《ツキノワグマ》〈岩田の森のけもの道〉より 2012-13年 作家蔵

第3章|〈鷲と鷹〉1965-1980年
宮崎は国内に生息する猛禽類16種類すべてをカメラに収めるため、北は北海道の知床半島から南は沖縄の西表島まで、鷲と鷹を追い求めました。ワシやタカの生息域は、人里離れた山の中や、断崖、岩場、離島だったため、撮影にはカメラ機材一式とキャンプ道具を車に積み、野営につぐ野営で撮影が続きました。約15年の歳月をかけて完成したこれら貴重な生態記録により、宮崎は日本における猛禽類生態写真の第一人者となりました。


《クマタカ》〈鷲と鷹〉より 1965-1980年 東京都写真美術館蔵 (鋭い目つきで周囲をうかがうクマタカ)

第4章|〈フクロウ〉1982-1988年
フクロウは姿もいい。フワフワの羽毛につつまれたまる味のある形が、なんとも愛らしい。それでいて、猛禽類のもつたくましさが感じられる。さらに、夜行性ということで、その生活のすべてが神秘のベールにつつまれていて、その生き方を私たちに想像させるだけである、これもまた不思議な魅力である。(宮崎学『フクロウ』平凡社、1989年)


《巣立ちが近いヒナ》〈フクロウ〉より 1982-1988年 東京都写真美術館蔵 (愛らしい表情のなかにも野生のもつ猛々しさがある)

第5章|〈死〉1994年、〈死を食べる〉2012-2015年
〈死〉1994年
輪廻転生 目を背けてはならない、とおもいながら、ファインダーをのぞいていた。 鼻が曲がるかとおもわれるほどの死臭が漂うこともあり、ハエのウジが体皮をやぶって湧き出してくる こともある。怯むことなく見つめていると、そこにはふしぎなドラマが展開されていた。 「死は生の出発点である」私は、自然の新しい摂理を、生きものたちから学んだ。(宮崎学『死』平凡社、1994年)


《冬の死・二ホンジカ1993》(1月27日6時36分)〈死〉より 1994年 東京都写真美術館蔵

〈死を食べる〉2012-15年
動物たちの死を見つめることで、「生命」とはいったい何なのだろうかと考え続けてきた。そして、「食うために生き、生きることが森を潤し、死ぬことがさらに自然をなめらかに潤滑させる」ということが分かった。(宮崎学のブログ「森の命を思う」[『フォトエッセイ 森の動物日記』2013年9月5日より])


《イノシシが死体を食う作法は内臓から…》〈死を食べる〉より 2012-2015年 作家蔵

第6章|〈アニマル黙示録/イマドキの野生動物〉1993-2012年
人間と野生動物の関係も宮崎の重要なテーマとなっています。1993年から2012年まで、長期にわたって、人間の生活空間近くに出没する野生動物を通して人間社会を描いたシリーズ〈アニマル黙示録〉に加え、現代社会にたくましく生きる野生動物を活写した〈イマドキの野生動物〉を紹介します。


《漂流物の台所洗剤のキャップを宿にしたオカヤドカリ》〈アニマル黙示録/イマドキの野生動物〉より 1993-2012年 作家蔵(「ヤクルト・ヤドカリ」や「キユーピー・ヤドカリ」も。いまや世界中の海は私たちの身近なゴミであふれかえっている)

第7章|〈新・アニマルアイズ〉2018-2021年、〈君に見せたい空がある〉2020-2021年 最新作
〈新・アニマルアイズ〉2018-2021年
本シリーズは、動物の住む森を動物の目線から見ることをコンセプトに、動物たちの痕跡をもとに、その生活や行動を注意深く読み解きながら、森の中の屋外スタジオに自作のロボットカメラを設置し、人間の目が及ばない瞬間を写し出した最新作です。圧倒的な臨場感をもった映像の数々は、まるで彼らの隣に居合わせたかのような迫力で見るものを圧倒します。


《ムササビ》〈新・アニマルアイズ〉より 2018-2021年 作家蔵 (夜行性のムササビは樹洞の巣で寝起きの伸びをした)

〈君に見せたい空がある〉2018-2021年
レンズをなめられるほど、カメラの近くに来てもらうため、動物たちの行動を予測し、画面に写し込んだ作品は、それまで宮崎が培った技術のすべてが盛り込まれた集大成となっています。動物たちが森の中でどのような暮らしをしているのか、彼らの目線から知ることができるシリーズです。


《ニホンザル》〈君に見せたい空がある〉より 2020-2021年 作家蔵 (サルの家族がレンズを怪訝そうに見つめていた)


撮影:飯塚 淳

宮崎学|Miyazaki Manabu
1949年長野県生まれ。自然と人間をテーマに、社会的視点にたった「自然界の報道写真家」として活動。「けもの道」を中心としたほ乳類及び猛禽類の撮影では自作の自動撮影カメラを駆使し、独自の分野を開拓する。近年では日本各地で問題となっている獣害被害のアドバイザーとしても活躍。1978年『ふくろう』で第1回絵本にっぽん大賞、1982年『鷲と鷹』で日本写真協会新人賞、1990年『フクロウ』で第9回土門拳賞、1995年『死』で日本写真協会年度賞、『アニマル黙示録』で講談社出版文化賞を受賞。他、写真集、著書多数。

※会期中に関連事業を予定しております。詳細が決定次第、本ページに掲載いたします。
※事業は諸般の事情により変更することがございます。 あらかじめご了承ください。

主 催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館
後 援:信濃毎日新聞社
協 賛:株式会社ニコン、株式会社ニコンイメージングジャパン、東京都写真美術館支援会員
協 力:株式会社モンベル

展覧会図録

イマドキの野生動物
本展出品作品図版を収録予定。宮崎学(出品作家)、水越武(写真家)、関次和子(東京都写真美術館学芸員)による論考など。240ページ。

図録一覧はこちら