本日休館日
 
福田勝治 《心の小窓》 1949年
今 道子 《「EAT」より 鮪と小鯵と柘榴》 1990年
3F 展示室

二十世紀肖像

全ての写真は、ポートレイトである。

2010.10.912.5

  • 開催期間:2010年10月9日12月5日
  • 休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
  • 料金:一般 500(400)円/学生 400(320)円/中高生・65歳以上 250(200)円
  • ※各種カード割引あり

( )は20名以上団体、当館の映画鑑賞券ご提示者、上記カード会員割引(トワイライトカードは除く)/
小学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料/第3水曜日は65歳以上無料

写真史上の有名作品からあまり目に触れる機会のない作品まで、時代を超えた魅力を放つ20世紀のポートレイト写真を中心に「二十世紀肖像」というキーワードで当館のコレクションをご紹介します。スタジオポートレイト、シュルレアリスム表現、社会派ドキュメンタリー、都市のスナップショット、広告ファッション写真、個人的な私写真表現など、多様なスタイルのポートレイト作品は被写体の個性を伝えるとともに、時代の感性や美意識、理想と現実を写し出します。単に人間を被写体にした写真だけがポートレイトではありません。一見ポートレイトに見えないような写真作品、たとえば風景や事物に写真家の内面や人間心理を反映させた写真もまた、ポートレイト表現として見ることができるのではないでしょうか。本展はポートレイト写真の可能性や人間をテーマとする写真の多様性と戯れながら、その魅力を探ります。

 

[主な出品作家]
安河内治一郎、有賀乕五郎、小関庄太郎、ウォーカー・エヴァンズ、アウグスト・ザンダー、植田正治、ハナヤ、福田勝治、佐藤虹児、ブラッサイ、マン・レイ、ヘルベルト・バイヤー、ハンス・ベルメール、岩宮武二、田渕銀芳、山端庸介、杵島隆、土門拳、奈良原一高、フィリップ・ハルスマン、早田雄二、三木淳、玉井瑞夫、立木義浩、細江英公、篠山紀信、藤井秀樹、操上和美、リー・フリードランダー、荒木経惟、小原健、沢渡朔、島尾伸三、鬼海弘雄、土田ヒロミ、橋口譲二、今道子、森村泰昌 ほか

 

本展は、序章と4つのパートで構成されます。
(出品点数173点)



序・モダニズム
20世紀初頭、芸術写真運動の主流だったピクトリアリズムは絵画を理想とする写真表現をめざしました。1930年代に日本で「新興写真」と呼ばれた動向では、機械の眼である写真だけに可能なイメージが追求されていきます。モダニズムの写真のポートレイト表現において、写真家たちは、強い作家意識、造形意識をもち、被写体となる人物の存在そのものを直接的につかみとろうとし、人間の内面的な美しさ、心情、言葉にならないような気配や雰囲気まで写し出そうとしました。

 

Part1「時代の肖像」
すぐれたポートレイト写真は ひとりの人物に向き合ってその魅力をひきだすことで、その背後にある時代や社会に共通する感情、美意識、理想をも、明らかにして見せる力をもっています。20世紀という写真の世紀においては、マスメディアを通して、一枚の写真がひとつの時代の象徴となり、後世まで多くの人々に記憶されるようになりました。

 

Part2「ドキュメンタリーの中の人間像」
スナップショットの手法によるドキュメンタリー写真が、現実のなかで瞬間的につかみとる人間の姿には、スタジオでセットアップされたポートレイトにはない魅力があります。一枚一枚が歴史の証言となるそれぞれの作品からは、苦悩や喜びの感情を直接に感じ取り、人間存在の崇高さ、生の尊さという普遍的な物語を読み取ることができるでしょう。

 

Part3「家族へのまなざし」
家族ポートレイト写真には、愛するものの姿を記憶にとどめようとする純粋な想いが込められています。その想いは人物写真の本質とも言えるものでしょう。写真家たちがとくに自身の身辺の営みに目を向け始め、社会の縮図として家族写真という形式に関心をもちはじめたのは、ちょうど家族愛の理想が失われ家族の姿が大きく変貌していった1970年代以降、核家族化の時代と対応しています。

 

Part4「想像の身体」
20世紀の写真と美術の関わりのなかで、人間の身体をモチーフとしつつ、既成のポートレイトの形式からはみだす作品表現が数多く見られます。アーティストの想像力のはたらきによって、ポートレイト表現は変貌し、そのイメージは見るものの想像力をも刺激します。このパートに紹介するのは、ポートレイトと非ポートレイトとの境界を超えて、特定の個人の記録に限定されない人間のイメージをひろげ、身体美を更新しようとする美術表現です。


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植田 正治 「砂丘」より 少女たち 1945年
有賀 乕五郎 本郷夫人 1926年
ヘルベルト・バイヤー セルフ・ポートレイト 1932年


アウグスト・ザンダー 「時代の顔」より 拳闘家 1928年
フィリップ・ハルスマン マリリン・モンロー 1952年
奈良原一高 「人間の土地」より」 緑なき島#28  1954-1957年
森村 泰昌 Mother( Judith I ) 1991年


□主催:東京都 東京都写真美術館 
□協賛:凸版印刷株式会社 
□協力:講談社

関連イベント

担当学芸員によるフロアレクチャー
2010年10月22日(金) 16:00~  終了致しました
2010年11月12日(金) 16:00~  終了致しました
2010年11月26日(金) 16:00~  終了致しました
※本展覧会の半券(当日有効)をお持ちの上、会場入り口にお集まりください。
記念講演会「家族のポートレイト写真」
2010年11月21日(日) 18:30~~  終了致しました

出品作家の島尾伸三さん一家の皆様に、「生活」をテーマとした家族写真の背景についてお話をいただきます。
出演:島尾伸三(写真家・出品作家)、潮田登久子(写真家)、しまおまほ(漫画家)
会場:1階ホール
定員:190名
受付:当日10時より当館1階受付にて本展覧会の半券をお持ちの方に整理券を配布します。

展覧会図録

肖像 ポートレイト写真の180年
「侍と私」「私をみて!」「20世紀肖像」各展の代表的な出品作品187点を掲載しています。
A5判 168ページ 発行:講談社

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