3F 展示室
ストリート・ライフ
ヨーロッパを見つめた7人の写真家たち
2011.12.10(土)—2012.1.29(日)
- 開催期間:2011年12月10日(土)~2012年1月29日(日)
- 休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
- 料金:一般 600(480)円/学生 500(400)円/中高生・65歳以上 400(320)円
- ※各種カード割引あり
( )は20名以上団体、当館の映画鑑賞券ご提示者、上記カード会員割引(トワイライトカードは除く)/
小学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料/第3水曜日は65歳以上無料
本展では、当館で2004年に開催した「明日を夢見て~アメリカ社会を動かしたソーシャル・ドキュメンタリー」展のヨーロッパ版となる展覧会として、イギリス、ドイツ、フランスで19世紀後半から20世紀前半に展開したソーシャル・ドキュメンタリー写真に焦点をあてます。
ヨーロッパでも社会改良の手段としての写真は見られましたが、国家プロジェクトのキャンペーンなどによって、ソーシャル・ドキュメンタリー写真が有効に機能したアメリカとは異なる展開を見せました。ヨーロッパでは近代化に伴い急速な変化を遂げる都市のすがたを記録として残そうと、消えゆく街角や生活風景などが記録されました。そうした都市風景の記録写真は、失われていく歴史を後世に伝えるために写し留めています。
当時の時代背景や地域性に目を向けながら、記録精神が紡ぎ出したヨーロッパのソーシャル・ドキュメンタリー写真の優れた感性や創造力を、この分野のパイオニアであるトーマス・アナン、ジョン・トムソン、ビル・ブラント、ブラッサイ、ウジェーヌ・アジェ、アウグスト・ザンダー、ハインリッヒ・ツィレの7人の写真家たちの作品から見ようとするものです。
(出品点数 183点)
ビル・ブラント(1904-1983)
ドイツ生まれ。マン・レイ の助手をつとめたことによるシュルレアリスムの影響から、独自の表現スタイルが特徴的なヌードやポートレイト写真などが有名だが、1930年代には、イギリス人の社会生活を記録して『イングリッシュ・アット・ホーム』として発表する。ビル・ブラント 若い主婦、ベスナル・グリーン 1934年
アウグスト・ザンダー(1876-1964)
ドイツ生まれ。あらゆる階級や職業のドイツ人を記録し、社会構造を見ようとする壮大なプロジェクトを手がけ、その一部を1929年に発行された『時代の顔』として刊行する。36年、ナチスに押収されるが、幸運にも消失を免れたネガからのプリントと撮影が戦後も続けられた。アウグスト・ザンダー 若い農夫たち c.1914年
トーマス・アナン(1829-1887)
イギリス生まれ。1868年、グラスゴー市からの委託により、再開発計画の一環として壊される前の建築物や街頭の風景を記録する。そのなかで捉えられた貧しい居住者たちのすがたは、ジェイコブ・A.リースのニューヨーク、スラム街のドキュメンタリーとの類似性を見出すことができる。トーマス・アナン 袋小路 118番、ハイ・ストリート 1868年
ジョン・トムソン(1837-1921)
イギリス生まれ。1860年代から70年代前半にアジアを旅し、その異文化を記録する。イギリスでの国民生活の様々な問題が社会問題として認識されはじめた70年代中頃には、ロンドン市民の暮らしを撮影し『ストリート・ライフ・イン・ロンドン』としてまとめた。社会改良のドキュメンタリーの先駆けとなる。ジョン・トムソン ロンドンの流浪者 1877-78年
ハインリッヒ・ツィレ(1858-1929)
ドイツ生まれ。ワイマール政権下の市民生活を風刺したリトグラフなどが高く評価される。写真を始めたのは1880年代末頃で、画家としての主題を、都市の社会条件に向け始めた時期と重なる。作品には社会の弱者たちに対する優しい視線が流れている。ハインリッヒ・ツィレ 荷車一杯の木を運ぶ2人の女、シャルロッテンブルクを背景に 1898年
ブラッサイ(1899-1984)
ハンガリー生まれ。1932年に『夜のパリ』として発表された写真集は後世の写真家たちに多大な影響を与える。マグネシウム・フラッシュを多用して魅力的なパリの生活の光と闇を捉えた。ビル・ブラントは、このシリーズに触発され「ナイト・イン・ロンドン」を制作している。ブラッサイ ベイ・ブイエの群衆、モンパルナス 1932年
ウジェーヌ・アジェ(1857-1927)
フランス生まれ。19世紀末の消えゆくパリの街並みや人々の暮らし、建築物の内部の装飾の詳細部分などを撮影し、画家たちのための資料として販売する。これら生計のために記録した約8,000枚の写真は、晩年、マン・レイに認められ、ベレニス・アボットによって世に広められた。ウジェーヌ・アジェ キャバレー「金の十字架」、サン・タンドレ・デ・ザール通り54番地 1900年
□ 主催:東京都 東京都写真美術館
関連イベント
- 特別対談「写真の<姿勢>をめぐって」
- 2012年1月27日(金) 18:00~19:30 終了致しました
倉石信乃(明治大学准教授/近現代美術史、写真史)×平倉圭(横浜国立大学准教授/芸術論、知覚論)
会場:東京都写真美術館 1階アトリエ(定員 50名)
対象:展覧会チケットをお持ちの方
開場:17:45より(整理番号順入場、自由席)
受付:当日10:00より当館1階受付にて整理番号付き入場券を配布いたします。
本展覧会チケットをご提示ください。 - 担当学芸員によるフロアレクチャー
- 2011年12月23日(金・祝) 16:00~ 終了致しました
2012年1月13日(金) 16:00~ 終了致しました
2012年1月27日(金) 16:00~ 終了致しました
※本展覧会の半券(当日有効)をお持ちの上、会場入り口にお集まりください。
展覧会図録
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ストリート・ライフ ヨーロッパを見つめた7人の写真家たち
展覧会の全展示作品と担当学芸員のテキストを掲載しています。
B5判変形 189ページ 発行:美術出版社